15年前のアグリッチ通信2

15年前、就農当初に書いていたアグリッチ通信。当時の通信の一部を公開。

美味しいイチゴを栽培する名人と普通のイチゴ農家の違い
 イチゴ栽培の名人と普通のイチゴ農家の違いは何だと思いますか?
私はまだ初心者レベルで偉そうなことを言える立場に無いので、イチゴ名人から教わったことをそのまま言います。僕は、美味しいイチゴをたくさん収穫するには、高級な有機肥料や高度な技術やセンスが大事だと思っていました。実際に、農業専門誌などでもそのようなことがよく取り上げられるからです。しかし、名人にたずねると、「イチゴ本位で考えて動くか、自分本位で考えて動くか。それだけの違いだよ」と教えてくれました。「土が乾いているようならすぐ水をやる、病気気味ならすぐに対処する。ビニルハウス内の湿度が高ければすぐに換気する」などのイチゴの表情を観察しながら、生育しやすい環境づくりを心がけることだそうです。初心者でも分かる基本的なことの積み重ねが芸術的なイチゴを作り出していたことには、まさに目からウロコでした。しかし、「今日は疲れているから明日にしよう、友達が遊びに来たから来週あたり一斉に管理すれば良い、別の仕事が忙しくて手が回らない。」などイチゴではなく自分中心に作業が進みがちになるものです。そこで自分を律してイチゴの立場になって作業を進めることが肝心です。
「当たり前のことを当たり前にする」ある有名パティシエの方が言うには「当たり前が一番難しい」「味を飛躍的に高めるための裏技など無い」「地道な作業を手を抜かずにやることが必要だ」そして、
「当たり前のことを積み重ねればそれが特別になる」
とおっしゃっていました。物事の本質は決まってシンプルですね。

2023年07月04日